てるうさファーム

有機JASって取る意味あるのか?てるうさが有機JASをやめた理由

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知らない人も多いかと思いますが、数年前、てるうさファームは、有機JAS認証をとっていました。

とっていました。そう、過去形です。

実は、てるうさは、元有機JAS農家なんです。
てるうさファームをはじめたころの目標が有機JAS認証をとる事だったんです。

そして、見事、おっとーは、頑張って目標の有機JAS認証を取りましたが、
約2年でやめました。

「なんで?せっかくとったのに。」と思うとおもいます。

それは、これから書いていこうと思います。

有機JASって取る意味あるのか?

先日、yahooニュースでこんな記事を見つけました。

『ECサイトで「無農薬」表示 農水省「規制の対象外」 「認証意味ない」反発も』

農水省は、「無農薬」「無化学肥料」といった表記を禁止する「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」について、一部の電子商取引(EC)サイトを対象外と判断していることが、日本農業新聞の調べで分かった。時間と費用をかけて有機JASや特別栽培農産物の認証を取得した生産者からは、反発の声が上がっている。同省が進める有機農業の普及にも影響を及ぼしかねない状況だ。(音道洋範)

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/c0670e5fb629f4d30e44d33916486619ff505afa

これを読んで思ったのが、「やっぱり、まだ何も改善されてないじゃん。中途半端やねん。」
これが率直な感想です。

はい?何のこと?って思ったと思います。

これは、いったいどういうことでニュースになっているのか。
簡単に解説したいと思います。

ざっくりと説明すると、有機JASを管轄する農水省が一部の『ECサイト』すなわちネット販売サイトで有機JASをとっていないのに「無農薬」「無化学肥料」「オーガニック」などの表示をしているを規制の対象外にしていることに有機JAS農家が怒っているという記事です。

さすがにこれは、ふざけんな!って有機JAS農家激おこも納得の大問題です。

これは、ECサイトが問題となっていますが、てるうさは、こういったことが原因で有機JASをやめたと言っても過言ではありません。

そもそも有機JAS認定マークってなに?

有機JAS認定とは、農林水産大臣が定めた品質基準や表示基準に合格した農林物資の製品につけられる認定マークです。

取得するには、結構な時間とお金がかかります。

有機JASを取得するための条件は

  • 種まき又は植え付けする2年以上前からほ場(畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと(多年生作物の場合は収穫前3年以上)
  • 栽培中も禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと
  • 使用する肥料や農薬は天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ
  • ほ場や施設、用具などに農薬や化学肥料の飛散・混入がないこと
  • 遺伝子組換えの種を使わないこと
  • 病害虫を防除するのに農薬に頼らないこと

などの条件を満たすよう、JAS法という法律で厳密に定義されています。

農林水産大臣に登録された登録認定機関により、書類審査と実地検査の両方を実施し、前述の条件を満たしていること、生産管理や生産管理記録の作成が適切に行うことができることを確認されれば有機JAS農家と認定してもらえます。

そして、認定されても有機JAS規格に基づいた生産を行っていることを確認するため、最低1年に1回、認定農家等の調査を行うこととなっています。

これも毎年認定調査料がかかりますし、何より生産管理や生産管理記録の作成は本当に手間で時間のかかるものでした。

そして、この基準を満たした畑でとれたお野菜だけが、このマークをつけて店頭などで「有機野菜」「有機○○」「有機栽培」「有機農産物」「オーガニック」と、表示できるのです。

すなわち、いくら無農薬、無肥料もしくは、有機栽培をしていてもこのマークがない限り「無農薬」「有機栽培」「オーガニック」といって販売してはいけないのです。

これも、JAS法という法律で決まっていることなのです。

これだけ手間と時間をかけているのに

てるうさが、準農家として畑をスタートさせた時に目標にしたのが有機JASです。

お金も時間もかかるのは良く分かっていましたが、これをとるメリットは、自信をもってお客様に「無農薬」「オーガニック」といえるからでした。

なのになぜ、返したかというと、その制度は厳密ではなかったということ。
はっきり言って、これをもっているメリットが感じられなかったことです。

まず、一番ショックだったことが、有機JASを取得して初めてアースデイ浜寺公園に出店した時、お客様から言われた言葉は、「有機JASて農薬使っているよね。」でした。

もう一度、有機JASを取得するための条件を見ていくと、

  • 種まき又は植え付けする2年以上前からほ場(畑)の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと(多年生作物の場合は収穫前3年以上)
  • 栽培中も禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと
  • 使用する肥料や農薬は天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ
  • ほ場や施設、用具などに農薬や化学肥料の飛散・混入がないこと
  • 遺伝子組換えの種を使わないこと
  • 病害虫を防除するのに農薬に頼らないこと


そう、ラインを引いた部分

  • 使用する肥料や農薬は天然物質又は化学的処理を行っていない天然物質に由来するもののみ

農薬は天然物質または化学的処理していなかったら使っていいのです。
じゃ、なんで農薬を許しているのか?無農薬ですよね?

有機栽培でも病害虫や雑草による害に対して、何らかの対策が必要です。 そのため、有機JAS規格では、農産物に重大な損害が生ずる危険があり、農薬の使用以外には効果的な防除ができない場合には、有機農産物の生産をする中でも使うことのできる農薬を定めています。除虫菊剤、銅や硫黄を成分とした薬剤、天敵や微生物などを用いた生物農薬、性フェロモン剤などがこれにあたります。

出典:農薬工業会 https://www.jcpa.or.jp/qa/a2_13.html

野菜をつくる上で、農薬は「絶対悪」なのか?というと、これもまたどうかと思う反面があります。うちは、使いませんが、気持ちは分かります。

現に市場に並ぶくらいきれいな野菜を作ろうと思うと、農薬を使用する方が、確実ですし、収量も生産性も上がります。

そうしないと有機で育てるにはリスクが多いのも事実です。売れる野菜をたくさん作らないと収入にはなりませんから。

たとえ有機野菜といえど、消費者さんがきれいな野菜を好まれるのは、事実ですし・・・。(笑)スーパーなんかだと虫があるとクレームになってしまいますからね。

うちは、虫がいるかもよって、分かって買っていただいているので、ほんとありがたいです。

うちは全く農薬は使っていませんが、使える農薬があることを知っている消費者の方には、有機JASというだけで「決められた農薬を使っているものかもしれない野菜」そういう風に見られてしまうのは事実です。

正直これでは、なんのために取ったんだろうと思ってしまい、本当に悲しくなりました。

農薬使っているかもしれない野菜を無農薬カテゴリーに入れたらあかんちゃうん?って思ってしまったので、

農林水産大臣に登録された登録認定機関すなわち、有機JASを発行してもらっている機関に問い合わせたところ、「全く無農薬です」と分かるように別にシールを作って貼ってくださいとの回答です。

は?じゃあなんのために「無農薬」と表示するのでしょう。「全く無農薬」って何なんでしょう?逆に消費者混乱するやろ!

無農薬やオーガニックと堂々と言えて、他で差別化をはかれるメリットがあるのが、有機JASじゃないんでしょうか?意味ないやん。

これでは、絶対、あかんやろ。こういうところがお役所なんよな~。中途半端やな~と。

個人的意見として「天然減農薬野菜」もしくは「1種」「2種」で分けたらええやんて思う。

真面目に完全無農薬栽培の農家があほみたいやん。高いお金を出して認定を受ける意味が分からなくなってしまいました。

行政の指導なんてほとんどない

有機JASの事についてちゃんと知っている方がどれほどいるのでしょうか?

マークはスーパーなどでも見かけるけど、どんな定義でつけられているのかと問われれば、知らないってことが多いでしょう。

何度も言いますが、お野菜に「無農薬」「オーガニック」などの表示を使うことを許されているのは、有機JAS農家だけなのです。

これは、ちゃんと法律で決まっていて、それ以外の生産者が使用した場合、罰則もあります。

そんなこと、野菜を作っている農家さんですらよく知らない方もおられると思います。

ましてや、家庭菜園で採れたものをフリマサイトや自宅前で販売する一般の方なんて、ほとんど知らない事でしょう。

これを周知させないといけないのは、農水省の役目ですが、何年たってもそのまま、一般にはほとんど知らていません。

だから普通に店頭やウェブサイトで無農薬野菜として販売されているのかと思います。ましてや管轄の農水省が一部のウェブサイトにある無農薬表示を対象外にするなんてそら、反発の声がでるのもあたり前です。

ほんまにますますメリットないやん。やるならとことんやれ!って話です。

てるうさの考え

農薬を使って育てた野菜が悪い食べ物になるのかといえばそれは違うと思っています。てるうさは、オーガニック推奨という店ではありません。

じゃあ農薬使うのかといえば違います。

農薬を使うことは、自分たちににもかかって体を壊すと思っているから使いません。食べるだけでなく生産する上では自分にかかる農薬は本当に半端ないのです。

健康を害してまで野菜をつくらないだけです。

それを消費者の方に分かってもらいたくて有機JASをとりましたが、思った結果にはなりませんでした。でも、いろいろ問題点が見えたのはメリットだと思っています。

今現在も、有機JASの審査が通るくらいのレベルで野菜を作っていると堂々と言えますし。(笑)

本当にちっこい農家ですが、いろいろやってるてるうさです。

自分の納得するお野菜を買ってください

今回は、有機JASについてつらつら書いてきましたが、結局のところ買う方も色々知っておいて損はないのかなと思います。

そして、それを踏まえて自分は何が食べたいのか?何を選ぶのか?

慣行栽培(普通に栽培)で生産された野菜も危ないということはなく、どこまでこだわるのか?もうこれは、個人の好みですよね。

もしかすると有機栽培や自然栽培(農薬も肥料も使わない栽培)で生産された野菜よりも慣行栽培(普通栽培)で生産された野菜のほうがきれいで見た目も良く、栄養価が高く美味しいということもあるかもしれません。

選択に正解不正解はなく、個人の納得のいくものを選択することが一番の正解だと思っています。

ネットで勉強して分からない事があれば、気になる農家さんにいろいろ聞いてみて購入するのもいいかもです。

こんな、ヘリクツ農家ですが、おもろいやんって思ったらフォローいただければ励みになります。

てるうさでは、お問合せ大歓迎です。

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